「心の中がグチャグチャで捨てられないあなたへ」の感想
「心の中がグチャグチャで捨てられないあなたへ」を読むきっかけ
整理収納アドバイザーとして積極的に活動していた頃は、伺うお客様のお宅はモノで溢れかえっている方がほとんど。
お客様としてはモノが片付けば心までスッキリすると思っていらっしゃる方がほとんですが、いざ整理収納作業を行うと捨てられないことに直面。
また、捨てる判断ができずに頭の中が混乱し、疲れてしまう。
当然、理想通りに作業は進まず、数時間では解決できずに数回通うことになります。
けれども、再訪するとせっかく片付けた場所がまた同じように新しいモノで散らかっていたりすることもありました。
モノで苦しんでいるというよりは、ストレスをモノで癒していた。そんなお客様が多かったような気がします。
そこで、レビューが高い「心の中がグチャグチャで捨てられないあなたへ」を見つけたので読んでみようと思いました。
かつて私も、片付けが苦手でモノが増えては捨ててを繰り返していましたので、なぜそうなるのか?やお客様の気持ちを知りたくて手に取りました。
「心の中がグチャグチャで捨てられないあなたへ」のあらすじ
「ガラクタ」処分を支援することを仕事にされている片付けコンサルタントの著者。依頼主の自宅や職場を訪問し、モノの片付けをお手伝いされています。
この本は不要なモノを荒っぽい表現の『ガラクタ』とすることで、依頼主の根本的な悩みを見つけ、取り除くことで部屋がスッキリ片付き曇っていた心も晴々するという、著者の事例を交えつつ、読者にも実際にガラクタを取り除くべくワークもついた実践的な片付けの実用書になります。
整理収納アドバイザーや片付けをお仕事にしている方にとっても参考になりますし、たくさんある事例の中からご自身に当てはまるケースもあるので、リアルゆえに心にぐさっと刺さるフレーズも様々あります。
モノを手放すことを頑張ってみようかなと思えるの本なのです。
過去にしがみつく必要はない
「心の中がグチャグチャで捨てられないあなたへ」を読んで特に印象に残った部分について2つのうちまず1つ目。
私は第4章の過去にしがみつく必要はない。今を一番大切に!部分が、自分の過去のことを振り返ったり、「ウチ、断捨離しました。」の過去放送で印象に残っている依頼者のことを思い出しました。
過去にしがみつくというのは、過去に使っていたモノを使わないのに保管しているだけのモノです。保管というか放置という場合も多いです。
私は、要らないと思えば、捨てられるのですが長く愛用しだすと目に見えない思い出がべったり貼り付いて「捨て時」なのに捨てられないです。
何度も悩んでやっと捨てられたパタゴニアのフリース。
着れるけれど、20年ほど前の物なので、機能の割に暖かくない。それにダボダボして今の私には野暮ったい。と着ない理由は明確なのですが、急に「もったいない」と言い訳が出てきたのです。
自分の中で1年以上着ない服は捨てるとルール付けしていたので、このフリースは1年に2回ほど部屋着として着用し、ルール上捨てなくてよいことにしていました。
でも、捨てない自分自身にモヤモヤしていました。何度も悩んで3年ほど前に捨てました。
あんなに悩んでいたのに、心が軽くなったのを覚えています。
捨てる前にフリースの写真を撮ったので、最後はエイヤーと捨てれました。
この本を読んでパタゴニアフリース事件(私の中では事件)のことを思い出しました。
フリースを着ていた頃が青春時代だったのでそのことを思い出して、過去に浸っていたかったんだろうなと自己分析。
思い出は所詮、思い出。もう現実になることはないのです。虚しいな思いを捨てることが出来て本当に良かったと思います。
過去のモノに囲まれていると思い出に浸たり、現在を忘れさせてくれるというのです。
本当に大切な「今」に目を向けられない。その為に過去への執着が強くなり、より一層捨てられないのでしょう。
思い出は美化されます。
その美化された思い出の中、つまり想像の世界に浸りモノにしがみついて思い出を保存したくなるのだと著者はズバッと切り込んでいました。
また、想像の中で生きることで現実とのギャップにも苦しむのです。
本当に大切ならなぜそれを使っていないのでしょう?
この章を読んで、「ウチ、断捨離しました」で片付けが進まなかった依頼者のことを思い出しました。
注文住宅に住んでいる別居中の女性。
モノで溢れている部屋を子供部屋にしたいという相談内容でしたが、結局依頼者がモノに執着しすぎて捨てられないという始末。
別居が始まってからモノが溜まっていったとのことでしたが、やましたさんが訪問すると、相当な量のモノだったので、元々溜め込み癖のある依頼者の溜め込み具合は根深かったのです。なかなか断捨離が進まず、やましたさんが再訪すると、依頼者の10代の頃の服なども保管されていたことが判明。とにかく心の闇がすごかった回だったのです(詳しくはこちら記事をご覧下さい)
過去への執着心がとても強いこの女性のことを思い出しました。
その後、少しでも処分できていると良いのですが。。。
誰でも過去のモノは家にあると思います。でも、ありすぎると「今」についてを考えられず。塞ぎ込んでしまい、ネガティブな方向へ進んでしまう理由がわかった気がします。
抵抗するより慣れろ
「心の中がグチャグチャで捨てられないあなたへ」を読んで特に印象に残った部分2つ目。
第5章生活の中で本当に大切なのは何か?の中にあった「捨てるプロセスに従い、変化に抵抗するより適応するほうが精神的にも肉体的にも楽」ということが書かれていました。
抵抗することって、けっこう疲れます。
それよりも、プロセスにしたがって淡々と行動することでいつの間にか適応していくと、体が慣れてきてそれに伴い心も楽になっていくんだろうなと思います。
似たようなことを禅宗の僧侶の方々の本にも書かれていて、通ずるものを感じました。
禅宗の修行は日常生活のすべてを修行と捉えています。
禅宗の修行は起床時間から就寝時間までの間にやるべきことが決まっています。
慣れるまでは体がきついし、常に空腹とも戦っているそうで、それはそれは大変だそうです。
けれども、3ヶ月もすると決まったルーティンが体に染み込んでくるそうで、心に余裕も生まれるそうです。
モノを捨てる際は頭では「もう必要ない」とわかっているのに、執着心を手放せなくて、なかなかモノを捨てられないということがあります。
けれども、「1年以上使っていないからもう使わない」等、もっと自分を俯瞰することが出来れば、いつの間にか捨てることに適応してくると私の実体験からも感じます。
痛みなくして得るものなし。
習慣を手放すのですから、痛みが伴ってうのは必須。それを理解した上で片付けの作業をすれば「捨てられない」→「捨てることができる」に変わるのかもしれないですね。
豊富な事例の中に自分と似たケースを探せる
「心の中がグチャグチャで捨てられないあなたへ」の良い点は、著者が実際に依頼者のお宅で経験した事例が豊富に紹介されていて、悩みと解決へのプロセスが紹介されています。
自分の経験と似たケースが探せるので、本当の悩みはこういうことだったのか。ということがわかり、悩んでいるつもりはなくても、悩んでいたんだということに気づきます。
人は悩んでいることに目を背けたり、誰かのせいにしたり、何かのせいにしたり、運命のせいにしたり、自分のせいにして開き直ったりと、結局根本的な悩みに向き合っていないこともあります。
目に見えない悩みに気づかないまま、「このままではいけない」と焦ったり、「自分は病気だ」と自分を傷つけ開き直り、「誰も私を認めてくれない」と拗ねたりした感情が全てモノで解消しようとした結果、ガラクタになってしまうんだなっと。
「ウチ、断捨離しました。」の番組でもこのケースをよく見かけます。
片付けの作業は心の乱れや不安を静め、内なる平穏と安定を養う。
この本の著者はメンタルカウンセラーでもあるなと感じました。
整理収納アドバイザー視点から考えると上級テクであり、豊富な経験がないとこんなにクライアントに切り込んでいけないなとも思いました。
私が整理収納アドバイザーとして積極的に活動していた頃は、私よりも年齢が上の方も多かったので、なかなか切り込んでお伝えする勇気がなく、傾聴の気持ちでお客様の悩みを聞いていましたが、経験不足で上手く誘導できないことが悩みでした。
お客様のやる気次第ですぐにに片付くケースと、地道にコツコツ寄り添って片付けてはまた散らかっていてというケースもありました。
寄り添うだけでは抜本的な解決になっていないなと悩むケースもありました。
この本を読んで質問力が足りなかったり、お客様を導く為の叱咤も時には必要だったのかな?と反省。
心のガラクタを捨てる為に、目に見えるガラクタを処分する。この行動をするだけで、部屋にも心にも余白が生まれて心が晴れ晴れする。
片付けにはそんな効果があることを改めて実感。
片付けるか片付けないかのどちらしかない。
片付けをすること、つまり体を動かすことに集中することで、心の乱れや不安を静め、内なる平穏と安定を養います。
また、身体の感覚を研ぎ澄まし、現在に集中することで、過去や未来からの雑念を取り除く手助けにもなります。
これにより、深い洞察や気づきが得られ、生活の質を向上させることができます。
禅宗の考え方と似ており、健やかな暮らしには絶えず掃除をし片付けをし続けることで、心を磨き続けたいなと思ったのでした。